コラム

井上奈々子の『食の豆々知識』

2020年6月8日

Vol.192 陽虚体質

6月でも、30℃を超える夏日が続くようになってしまいました。

昔は、こんなに暑くなかったですよね...。

この異常気象のせいなのか、ここ近年、真夏でも冷え性で身体が冷える、痛む、という方が増えています。

自分の身体のバランスをとれなくなってきているのかもしれません。

人は、身体に「陽」と「陰」を合わせ持ち、バランスをとって過ごしています。

この冷える、痛む、という症状は、「陽虚」、つまり「陽」の気が足りなくなっている状態です。

通常は、薬膳は季節に合わせ食材を選びますので、真夏には身体を温める食材は避けるようにします。

しかし、この「陽虚体質」の場合は、真夏でも身体を温める食材が必要です。

ということで、今回は、前々回の「気虚体質」に続き、「陽虚体質」のお話し。

体質判断チェックシートはその前の回にのっています。

ぜひ、ご自分の体質をご確認ください

● 陽虚体質とは

身体の「陽」の気が不足し、臓腑の働きが気虚よりさらに弱まり、身体の冷え、痛みなどの症状が表れている体質です。

特徴としては、顔色が白っぽい、目のまわりがくすんでいる、手足と身体の冷え、倦怠感、むくみ、腹部・関節・筋肉・腰・ひざなどが冷えて痛む、下痢、頻尿、尿漏れ、などがあげられます。

気虚の体質の特徴に「冷え」「痛み」がプラスされた症状です。

この体質の大きな特徴は、舌を見るとよくわかります。

色がうすく、白いです。

また、女性では、生理不順、量が多い、不妊症、生理痛などの症状もよく見られます。

●陽虚体質の薬膳処方

「陽気」が不足していますので、まずは、「陽気」を補い臓腑を温め、抗寒能力を増強してくれる、「助陽類」の食材を使用します。

また、臓腑を温め、冷えの症状の改善をはかる「温裏類」の食材を加えると、助陽の効果が高まります。

ただし、温裏類には、香辛料が多く含まれています。

香辛料は、発汗作用も強いため、とり過ぎには注意が必要です。

もともとは、気虚の症状を持ち合わせていることが多いので、気虚体質と同じ、「補気」、そしてその気を滞らせないようにする「理気」の食材も加えるようにします。

もちろん、冷たい食べ物、飲み物や、身体を冷やす「清熱類」などの食材は、できるだけ避けるようにします。

● 陽虚体質によい食材

今までに何度も出てきていますが、確認です。

助陽類:羊肉・海老・くるみ・鹿肉・岩魚・なまこなど

温裏類:にら・ピーマン・パプリカ・ししとう・唐辛子・鮭・鯵・黒砂糖

シナモン・フェンネル・クローブ・山椒・胡椒など

これらを組み合わせて、更に補気類、理気類などの食材と合わせ、摂取するようにします。

なかでも、植物性よりも動物性の方が効果が高いと言われており、羊肉やえびは、身体を温める食材の代表です。

ところで、インドのカレーは、香辛料を多く使用します。

タイ料理は辛いことで有名です。

暑い国なのに、なぜそんな、身体を温める食材を多くとるのか不思議に思っていたのですが。

どうも、それは「とり過ぎ」な量に答えがあったようです。

香辛料は、身体を温めますが、共に、発汗性があるものも多く、大量にとると汗をかきます。

つまり大量な香辛料を摂取することで、汗をかき、身体の表面を冷やしているということのようです。

更に、身体を冷やす砂糖類や果物をとることで、バランスを保っているそうなのですが…。

ちょっと過酷すぎるので、体質が違う日本人にはおすすめはできません…。

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