コラム

井上奈々子の『食の豆々知識』

2021年4月12日

Vol.202 よもぎ

先日、摘みたてのよもぎで作ったおだんごをSNSにアップしていた友達に、「うちに、炊き立てのあんこ、あるんだけどなぁ...」とつぶやいたら、よもぎだんごをわざわざ作って持ってきてくれました(笑)。

摘みたて、茹でたて、作り立て。なんて幸せなんでしょう。

私、草もちが大好きなんですが、頂いたのは本当によもぎの香りがしっかりとしていて。

本当においしい...。

あ、無理やりじゃないですよ、たぶん(笑)。

ということで、今回は、よもぎのお話。

●もちぐさって?よもぎのこと?

よもぎは、キク科の多年草。

1年中、生えていますが、新芽がでるのが、3~5月。

ですから、それが旬です。

夏にもよもぎはとれますが、葉が固くて、香りも少ない気がします。

葉の裏には、白くて細かい毛があり、それが絡み合って餅やだんごに、ほどよいコシを与えます。

そのため、よもぎは「もちぐさ」とも呼ばれるのです。

餅をつくための草‼

ちなみに、食べたときにふわっと香る爽やかな香りは、シオネールという精油にも使用される成分だそうです。

フレッシュなよもぎ特有のこの香りと、あの餅に絡み合った感じが、乾燥では味わえず、何とも言えないんですよね~。

●艾葉って?

よもぎは、食物繊維、ビタミンA、C、K、ミネラルなどを多く含みます。

有名なデトックス効果をはじめ、便腸内環境を整え便秘を解消し、しみやしわの防止、身体を温め冷えの改善、貧血の予防、造血などなど...。

効用をあげたらきりがありません。

食べるだけでなく、お茶はもちろん、身体を温める作用もあることから、よもぎ蒸しも有名です。

また、この香りはリラックス効果をもたらし、アロマとしても需要があります。

そして、古くから、漢方では、「艾葉(がいよう)」と止血薬として使用されています。

生理の多量出血や貧血、冷えなどによる痔の出血や内出血などに処方され、また、傷の止血や虫さされなどにも効くとされています。

●どうやって下処理するの?

まず、アクを抜くために、沸騰している湯に塩と重曹を加え、2分ほど茹でて水にさらします。

水にさらしたよもぎは、よく絞り、すり鉢でするか、フードプロセッサーでつぶし、お餅やおだんごに入れます。

茹でて水に落としたものをお浸しにしたり、または、生をそのまま天ぷらにして食べたりもします。

沖縄では、よもぎはフーチバーと呼ばれ、よく見かけますが、沖縄よもぎは、本土のよもぎとちょっと違った品種で、本土のものよりも香りが弱く、アクも少ないそうです。

本土のよもぎのような下処理をせず、そのまま炒めたり、あるいは、生でも食します。

ヨーロッパでも、よもぎはハーブとして親しまれ、生でも使用されます。

昔、沖縄よもぎでおだんごを作ったことがありましたが、香りが少なく、なんかいつもと違ったことを覚えています。 やはり品種が違ったんですね。

よもぎは何千もの品種があるとも言われています。

春になると、よもぎを摘みたいとは思いながら、よもぎはトリカブトに似ている、なんてことを聞くと、なかなかよもぎ摘みにいけない私です。

え、トリカブトはそうそこら辺に生えていない?

わかってはいるんですけれどね(笑)。

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