コラム

井上奈々子の『食の豆々知識』

2022年1月11日

Vol.211 とびっこ

あけましておめでとうございます。

本年もよろしくお願い申し上げます。

さて、お正月。親族一同そろったテーブルには、料理が並び。

そこには、赤いつぶつぶが。

「これってとびっこ?」

「とびっこって何の子供?」という「親子」の会話。

しばらく、「え?なに? 」と、なんだろう的な会話が続き、やっと「あ、とびっこだから、トビウオかなあ?」と。

え、なに?というまでもなく、とびっこって、トビウオの子供以外考えられないんですけど...。

たしかに、数の子もいくらも、誰の子供だかわかりづらい名前をしているけれど。

とびっこはわかるだろ...と、親子の特に「親」の方に心の中で突っ込みまくっていたお正月のことでした。

すみません...。

無知な親子の会話で...。

ということで、今回は「とびっこ」の話。

●改めて、とびっこって?

もちろん「トビウオ」の子供です。

トビウオの旬は、種類にもよりますが、春~夏。その時期に産卵するため、とびっこの旬も同じといえます。

が、出回っているもののほとんどが、ペルーやインドネシア産。

国産ものは少ないようです。

ちなみにこの「とびっこ」。

実は、兵庫の水産会社「かね徳」さんが標品登録された商品名なんです。

正式名称は、「とびこ」。

でも、とびっこの方が、知名度がある気がします。

かわいいですしね。

すごいことです。

ということで、ここではこのまま「とびっこ」のままでいかせて頂きます(笑)。

●もとから、あんなに赤いの?

天然のとびっこは、透明感のある淡い黄金色。

うすい茶色に近いものもあります。

これを塩漬けし、調味料に漬けますが、その時に着色料をほとんど用いています。

なので、あんなにきれいなオレンジ色なんですね。

いくら(鮭の子)より小さく、数の子(にしんの子)より大きいとびっこは、他の魚卵より、食感があり、プチプチしています。

が、いくらのような旨味が少なく無味に近いため、調味料で味をつけます。

ついでにいうと、明太子は、たらこを唐辛子の入った調味料に漬けたもの。

たらこは、真鱈ではなく、スケソウダラの子供です。

明太子と同じ、調味料に漬けてあるとびっこは、ご飯にももちろんあいますし、だしが効いているので、和風なパスタやサラダなどのトッピングや、酒のつまみにも適している訳です。

ちなみに、とびっこを黒く着色すると、人口キャビアに。黒くされると味が変わる気がするのは気のせいですかね(笑)。

本物のキャビアはチョウザメの子供です。

ところで、うちのお雑煮は、かつおだしですが、夫の実家のお雑煮は、あごだし。

あごって知ってる?と聞いてみたら、これは、「トビウオ」と。

それでなんでとびっこがわからないんだ?と思いながら。

トビウオって意外とうちの食卓にのっているのね、と、思ったお正月でした。

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