コラム

井上奈々子の『食の豆々知識』

2022年11月7日

Vol.221 五味子

先日、ある飲食店のメニューに、「五味子カクテル」がありました。

内容を聞くと、店長が実家の山でとってきた「五味子」を使用して作ったお酒のカクテルであるとのこと。

これって...。

たぶんダメなんです。

提供しちゃダメなやつ...。

どうしてダメなのか。

ということで、今回は「五味子」のお話。

●まず、五味子ってなに?

五味子(ごみし)は、朝鮮五味子と呼ばれる落葉性の植物になる赤い実のことです。

生は、食べられますが、とるとすぐに腐ってしまうので、乾燥したものも多く出回っています。

中国でも韓国でも、生食用やジュース、五味子茶、五味子酒としてよく利用されます。

五味子の名前は、甘味、酸味、辛味、苦味、鹹味(かんみ・塩味)を持つことから名づけられたそうで、身体の体調によって感じる味が変わるとも言われています。

薬用、薬膳(生薬)としても用いられ、収渋類(ぎゅうっと止めるようなイメージ。

咳止め、下痢、止血などに使用される)に属し、慢性的な下痢や、自汗(急にどっとでる汗)、鎮咳去痰(咳止め)、また、動悸や不眠、滋養強壮などの効果があると言われています。

漢方薬では、小青竜湯、清肺湯、杏蘇散などに使用されています。

●何がいけないの?

で、この五味子、薬機法に生薬として収録され、更に、その薬機法の中の「専ら医薬品として使用させる成分本質リスト」に、「部位;果実」と載っているんです。

薬機法は、正式名称「医薬品、医療機器などの品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」の略で、2014年以前は、「薬事法」とよばれていました。

で、これに上記のように載っているということは、薬剤師など決まった人しか売ってはいけない、だけでなく、果実(五味子は果実しかほぼ使用されない)は、医薬品なので、食品として使用してはいけない、ということなんです。

つまり、医者でもない普通の人が、五味子酒を作って、一般の人に売っちゃいけないんですね。

じゃあ、自分で作って飲む分にはいいの?と思いますが、これも、基本的に食品として食べちゃダメ、となっているので、処方されて飲むことしか基本は許されていません。

といっても、薬膳教室などで、勉強のためにお茶を飲む、とか、味を見る、ということは許させているので、個人的に何かしても、まあ罰せられることはないと思いますが。

韓国では当たり前のように販売し、当たり前のようにお店で出てくる五味子茶。

これ、韓国で買ってきて、日本で通常に食するのも一応ダメなんですよね。

効用はいっぱいあるので、ぜひ、日本でも普通に食せるようになるといいのですが。

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