コラム

KAZU石田の『飲食店現場の眼-小さな気づき-』

2014年3月11日

Vol.32 “お通し”は店の心意気が感じられるような一品を

3月に入り少しずつではありますが、小さな春を感じられるようになりましたね。

この時期になると、「鼻と目がムズムズしてきました!」という声も多く聞かれます。

春と共に訪れるやっかいな花粉の時期でもありますね。

花粉症の方は、これからしばらく花粉と戦うことになりますが、耐えましょう。(泣)

さて、今回の気づきは、居酒屋や料理屋さんでの「お通し」についてお話したいと思います。

改めてお通しの意味と趣旨はおわかりでしょうか?

席料の代わりとか食材のロスをなくせて一石二鳥とか思っていませんか?

突然ですが、こんなデーターがあります。

お通しについて、「居酒屋のお通しの値段についてどう思うか」と「居酒屋のお通しの質についてどう思うか」というアンケートで、価格については約7割が「高い」、質についても約5割が不満と回答しています。

また、年代別でみると特に若年層と高年齢の方は不満に感じた事があるとの回答が多く、

具体的には、

・お会計の時、思っていたより値段が高い

・質、量の割に値段が高い

・嫌いなもの、アレルギーがあるものなど出されることがある

・お金を出すなら好きなものを食べたい

・お通し料金を取られるか取られないのか、店に入るまでわからない

・お客様のためというより、売り上げのためだけのような気がする

・提供されるお通しの内容について、店員が正確に把握していない

等々、声が上がっています。

皆さんのお店はどうですか?

また、他店へ行った際にこの様に不満に感じた事はないでしょうか?

お通しはもともと「客の注文を、帳場に通した」ということを示し、客を席に案内し、注文を受けたという意味を持ちますが、プラスアルファで「当店ではこの様な味付けで、ご注文のお料理が出てくるまで期待してお待ちください」との意味合いも含まれています。

店によっては「座席料」「チャージ」という意味合いで提供している店もありますね。

料理料なのか、席料なのか、良くも悪くも、都合よく使われている「お通し」に「頼んでもいないのに、勝手に出てきてお金を取られている」と悪い面だけが膨らんできているのかもしれませんね。

特に最近多いのは、日本の慣習を知らない外国の方が、後で料金に加算されていることを知り、「注文していないのになぜ払わなければいけないのか」と、トラブルになったといった話もよく聞きます。

専門家に聞くと、メニューに「お通し」が有料で明記してあった場合や入店時に説明があった場合は、お通し料金の拒否をすることはできないが、説明や記載がない場合は、『要らない』と言えば、料金を払う義務は発生しない、ただし、食べてしまえば、代金を支払う義務が生じるが法的解釈です。

また、名目が料理代であれば断れても、席料であれば断れないといった法的解釈もあるようです。

料亭などの高級店でなければ、曖昧に取るのではなく、他の会計と同じように、明瞭会計にすることや事前に明示することが大事になってくるかもしれませんね。

そのうち、料理料なのか、席料なのかをはっきりさせないと、「お通し」では通らなくなってくるのかもしれません。

そうすると、海外のように、水やお茶、おしぼり代も無料にはできない、席料もサービスに対するチップももらいたいなんて声も聞こえてきそうですが・・・。

ひとまず、料理として提供するなら、名刺変わりでもあるお通しですから、店の心意気が感じられるような一品を提供したいですね。

余談ですが、この間入ったお店では、二人に1つ、「ぶりかま焼き」がお通しに出てきて、ビックリしました。

家族や恋人ならまだしも、仕事の取引先の方との会食です。

たしかに、いきなりお通しで「ぶりかま焼き」が出てくれば、インパクトは感じられますが、男二人で1つの焼き魚を仲よくつつけませんよ。

取り皿もなく、それも一品目から。

提供のしかたも考えましょう。

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