コラム

井上奈々子の『食の豆々知識』

2008年11月11日

Vol.53 卵(2)

では、前回に続き、卵のお話。今回は、ちょっとお気楽編。

SサイズとLサイズ。お得なのはどっち?

一般に流通されている卵のM玉とかL玉というのは、農林水産省が定めた取引規格により選別されたもので、SS~LLの6段階のサイズがあります。

料理のレシピで卵1ヶと書いてある場合は、一般的にM玉(58~64g)のことであり、60gで計算されます。

ところでおもしろいことに、卵の大きさにかかわらず、卵黄の量はほとんど同じで約20gです。

残りは殻(約10g)と卵白ということになります。

なので、料理の目的に合わせてサイズは選んだほうがいいようです。

ちなみに、昔はよくみかけた1つの卵に卵黄が2ヶ入った二黄卵(双子卵)は、選別の技術が発達した現在では、SSよりも小さいものやLLを超えるものなどと一緒に卵液などとして加工用にまわされます。

鶏が産まなくなったという訳ではないようです。

なんだか、2ヶ卵黄が入っていると得した気分になったものなので、ちょっとさびしい気もしますね。

黄身が濃い黄色の方がいい卵なの?

結論からいえば、有精卵と無精卵、赤玉と白玉、卵黄の濃淡などにおける新鮮さや栄養的な違いはみられません。

有精卵はメスとオスを一緒に飼わなくてはいけないため、その分のえさ代や、広い飼育場所が必要になるので、値段が高くなっているそうです。

赤玉と白玉の違いは、鶏種の違い、卵黄の濃淡は餌の色(例えば餌にとうがらしを入れると卵黄の色が濃くなります)の違いです。

発芽玄米やスプラウトなど、これから成長していくものは栄養価が高いといわれています。

卵も例外ではなく、非常に栄養価の高い食べ物です。

ということは、やはり、温めればひよこになる有精卵の方が、秘めた力を持っていると思うのは私だけでしょうか(笑)。

なんで、殻がむいてないのに、塩味がつくの?

味つきゆでたまごは、コンビニやキオスクなどのヒット商品です。

でも、どうやって塩味をつけているか不思議じゃないですか?

一般に、塩漬け卵(15%程度の塩水に1ヶ月程度、殻のまま漬け込んだ卵)をゆで卵のように茹でると、味付け卵ができます。

しかし、工業的には、茹でた後に塩水の中で圧縮させて味をつけているようです。

針で卵に塩水を注入しているなんてうわさもありましたが。

ちなみに、塩漬け卵は保存食です。中国の「鹹蛋」(シャンタン)みたいなものですね。

スクランブルエッグと玉子焼き、色も食感も違うのはなんで?

一般に、スクランブルエッグは弱火(あるいは湯煎)で時間をかけて火を通し、玉焼きは中~強火で一気に焼き上げます。

これにより、スクランブルエッグは、空気を含まないため濃い黄色になり、また、たんぱく質が完全に固まらずとろ~としたクリーム状になります。

玉子焼きは、火力によりぷく~と膨れ空気を含むため、淡い黄色でふんわり軽い仕上がりになります(膨らむのは砂糖の力、色が淡くなるのは出汁を加えるためもあり)。

ちなみに、薄焼き卵は、玉子焼きとは違い、スクランブルエッグと同様、低温で時間をかけて焼くので、色は濃い黄色(卵黄をプラスしている場合もあり)に仕上がるのです。

ところで、卵は、①半熟ゆで玉子(温泉玉子) ②生卵 ③玉子焼き ④固ゆで玉子の順で消化がよいそうです。

かぜを引いたときに、とろ~っとした玉子粥を食べるのは、栄養的にも消化的にも、非常に理に適っているんですね。

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