2009年1月13日
Vol.55 チョコレート
もともとは「愛を誓う日」であったバレンタインデーが、日本では、チョコレート会社の戦略により、女性が男性に「チョコレート贈る日」となってしまったというのは、有名な話。
最近では、本命チョコ、義理チョコに続き、友チョコ(友達同士で交換するチョコレート)、自分チョコ(自分のために買うチョコレート。高価なものが多い)なども増え、女性だけでなく、男性が自分に買うことも多いとか。
更に今年は、逆チョコ(男性が女性に買うチョコレート)も、といううわさ。
様々な、チョコレート商戦が繰り広げられる時期になりましたので、今回は、チョコレートのお話。
● ショコラとチョコレート、何が違うの?
チョコレートは英語、ショコラはフランス語。
基本は同じです。
また、昔はチョコレートが飲み物だったため、フランスでは、ショコラは、食べるチョコレートも飲むチョコレートもどちらも指します(ショコラ・ショーと呼ばれる場合もあり)。
アメリカでは、食べるチョコレートと区別するために、飲み物は、ホットチョコレートと呼ぶことが多いでしょうか。
日本は、いろんな国から取り入れているので、ココア、ショコラ、ホットチョコレート・・・と、ぐちゃぐちゃです。
ところで、厳密に言えば、ココアとホットチョコレートの区分はありません。
しかし、カカオ豆のココアバターを減らした粉末ココアを溶かして作るものを“ココア”、ココアバターを多く含んだクーベルチョコレートを溶かして作るものを“ホットチョコレート”と呼び分けることが多いようです。
ちなみに、「カフェモカ」という飲み物がありますが、もともと“モカ”は、チョコレート風味をしたコーヒー豆のこと。それをまねて、コーヒーにチョコレートソースを加えて作った飲み物がカフェモカです。
ほんとややこしいですね・・・。
● ココアバターは乳製品?
チョコレートの原材料を見ると、ココアバターという文字をよく目にします。
これは、牛乳から作られるバターとは異なり、カカオ豆に含まれる脂肪分のことです。
バターが室温ではやわらかくなるのに対し、ココアバターは、室温(20~23℃)以下では固く、室温より高くなると急激に溶け出す、という性質を持っています。これが、室温ではパリンと割ることができるのに、口に入れたとたん溶ける、あのなめらかな口どけ感を生むのです。
最近、クーベルチュールチョコレートという言葉がよく知られるようになってきて、高級チョコレートとされることがあります。しかし、本当は、このココアバターの含有量の多いチョコレートを指し、特殊用途のチョコレートのことなのです。
● 生チョコと呼ばれるための必要条件
近年は、生チョコレートが人気です。実はこれ、トリュフチョコレートなどのなかに入っている“ガナッシュ”と呼ばれるチョコレートを改良してそれだけで食べられるようにした、日本独特のチョコレートなのです。
温めた生クリームでチョコレートを溶かし、ぎりぎりやわらかさで固めて、ココアパウダーをまぶす。
簡単なものだけに、本当においしい絶妙なやわらかさの生チョコをつくるのは、大変です。
ところで、この生チョコ、チョコレート公正競争規約により「ココアバターを含有量が18%以上であり、ミルク分の合計が35%以上であること」という規定があるということを今回初めて知りました。
● チョコレートを食べたらやせるの??
チョコレートダイエット、ココアダイエットなどが、一時話題を呼び、大ブームを引き起こしました。
これは、カカオバターにコレステロールを減少させるオレイン酸が含まれ、また、テオブロミンという成分には食欲を抑制する効果があるとされているからです。
他にも、チョコレートには、よく耳にするポリフェノールが含まれ、老化防止や、血液をサラサラにし新陳代謝をアップするという働きもあります。
すばらしい食材ですが、一般のチョコレートは糖分やミルクがたっぷり含まれています。コーヒーはブラックで飲みますが、ココアはブラックでは飲めません。
くれぐれも、食べすぎ、飲みすぎは、ダイエットになりませんから、ご注意を(笑)。
ちなみに、チョコレートを食べると鼻血がでる、にきびができる、は、うそのようです。
むか~しむかし、バレンタインに、トリュフやボンボンなどを作ろうとがんばったことがありました。
お菓子作りの本には、つやのよいしっかりとした製品を作るには、テンパリングはかかせないと書いてあり、そのために、温度計やパレットナイフ、大理石のめん台までそろえました。
テンパリングとは、温度調節のこと。
ココアバターを理想的な結晶の形にするために、大理石の上に溶かしたチョコレートを流し、一度27℃以下まで下げてから、また31℃まであげる、という、めちゃめちゃ面倒な作業を行います。
初めてのチョコレート作りは本当に大変で、へとへとになったのを覚えています。
あれから十何年。
今では、テンパリングが不要という製菓用のチョコレートも使用され、手作りチョコがとっても気楽にできるようになりました。
押入れの奥にしまいこんだ、とっても重い大理石、もう出番はないんだろうなぁ・・・(笑)。
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