2009年10月13日
Vol.64 餃子・シュウマイ・ワンタンの皮
だいぶ前の話になりますが、冷凍餃子に農薬が混入されていた事件があったときに、餃子を家で手作りするうちが増えたというニュースをやっていました。
その中で、“餃子って家でつくれるんですね。うちでもやってみます”という主婦の方がいて、うちの母が、“今の人は餃子の作り方も知らないのねぇ”とえばって(?)いました。
そんな昭和の母も、「餃子の皮は買うもの」と思い込んでいて、手作りはしません。
スーパーに行くと、大きさや厚み、様々な餃子の皮が売っています。
餃子の皮の横には、ワンタンの皮やシュウマイの皮もおいてあります。
先日、スーパーで、お店の方に“これ、何が違うんですか?”と聞いている方がいらっしゃいました。
お店の方は、ちょっと考えながら、“メーカーが一応それ専用に作っていますが・・・。
形と厚みが違うくらいです”と答えていました。
前出の昭和の母にも同じ質問をしてみると、“知らないわよ。餃子は、餃子の皮、シュウマイはシュウマイの皮でつくるもの”と、当たり前のように言っていました(笑)。
そこで、今回はちょっとした皮の豆知識を少々。
● まず、厚みと大きさの違い
餃子の皮とシュウマイの皮の違いは、基本的には、厚みと形です。
餃子は、皮と具の両方を味わうのに対し、シュウマイは具が主役の料理です。
ですから、餃子の皮は、やや厚めに仕上げているのに対し、シュウマイの皮は具を邪魔しないよう薄めに仕上げています。
ですから、ご当地餃子のように一口パリパリ餃子を作りたかったら、シュウマイの皮を使う、ということもできます。
逆に、餃子の皮でシュウマイを作ることもできますが、私は、厚みが蒸し料理にはあまりむかないように思います。
中国では、餃子といえば水餃子が主流ですが、日本では、焼き餃子が一般的です。
ですので、市販の皮は、焼き餃子用に作られているため、普通の皮で水餃子を作ると、破けてしまいます。
その理由で水餃子には、厚い皮を使用するのがおすすすめです。
最近では、水餃子の皮も市販されるようになりましたが、これは、厚みというより、茹でても破けないように工夫されています。
水餃子特有の、もちもちしたコシのある生地は、やはり、現在では手作りしないと難しいようです。
● 次に食感の違い
餃子の皮の作り方をみていると、強力粉を使っていたり、薄力粉を使っていたりします。
これは、グルテンの違いです。
グルテンが多いものが強力粉です。
強力粉で作った皮の方が、コシがあり、もちもちしています。
同様に、水を加えて溶くと、グルテンがゆっくり形成されるので、コシの強い生地になり、熱湯を加えて溶くと、酵素が働かなくなり、粘りは弱くなります。
また、小麦粉のでんぷん質が糊化するため扱いやすく、のばしやすくなるという点もあります。
メーカーにもよりますが、餃子には、強力粉が多く、シュウマイには、薄力粉が多く使われていることが多いようです。
最近では、他に、米粉が含まれ、違ったもちもち感をだしている商品もあります。
● そして見た目の違い
さて、全然登場してこない、ワンタンの皮は、何が違うのでしょうか。
ワンタンの皮は、他の餃子の皮やシュウマイの皮と根本的に違います。
それが、「かん水」です。
よくラーメンなどに使用されているかん水、これを加えると、中華麺特有の香りと、黄色みがでます。
また、つるっとしたのど越しや食感もでます。
ですから、ワンタンの皮で、シュウマイをつくると、皮が褐色になります。
それはそれで面白い気もしますが(笑)。
逆に、かん水の入っていないシュウマイの皮でワンタンをつくると、白く仕上がります。
また、皮がうすいため溶けてしまいます。
他に、浮き粉を使用した餃子の皮などもあります。
これは、蒸すと、透明になります。
ですから、えび餃子など透けて見えるときれいな素材をあんにすることが多いようです。
つまり、シュウマイには、シュウマイの皮を使用しなくてはいけない、というようなことはありませんが、基本的に求めている色や形や食感を求めるならば、その皮を使用することをおすすめします。
他の皮を使用すると、意外性がでて、面白いかもしれませんが、具の量や火の通し方などを工夫しないと、商品にならないことがありますので、ご注意を。
ところで、中国では、主食、副食、の他に、主副食という言葉があります。
つまり、一品で、主食とおかずを兼ねたもの。それが、水餃子です。
日本では、白いご飯にあうためか、水餃子よりも、焼き餃子が主流に広がりました。
関東人がよく、お好み焼きでご飯を食べることをバカにしますが、中国人からしたら、餃子でご飯を食べるのは、不思議なことなんでしょうね。
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