コラム

井上奈々子の『食の豆々知識』

2009年12月7日

Vol.66 黒豆

師走ですね。

本当に、12月になると日々が走り去ってしまいます・・・。

なんだか、この間お節を作った気でいたのに、もうまた、作るのかと・・・(笑)。

ところで、はずかしながら、私はつい先日まで、「丹波の黒豆」を、丹波産の黒豆だと思っていました。

でも実は、「丹波黒豆種」 、つまり、そういう品種だったのです。

現在では、丹波だけでなく、関西を中心に近畿や中国地方で丹波種の黒豆を栽培しているようです。

そんな今更なこともあり、今回は黒豆の話。

● 黒って本当に身体にいいの?

黒豆の正式名称は黒大豆。

つまり、大豆の品種のひとつです。

栄養成分表には、黒大豆の項目はなく、普通の大豆と同等となっています。

しかし、もちろん、黒豆は黒の色素である、「アントシアニン」を含んでいます。

アントシアニンは、ここ近年よく耳にする「ポリフェノール」の一種。

血液をサラサラにしたり、脂肪の吸収を防ぐダイエット効果があったり、また、がんの予防にもなるといわれて騒がれました。

特に黒豆の場合、他の種類に比べ優れた抗酸化作用があることが明らかになっています。

つまり、黒豆は、大豆よりも黒い分、更に身体に良いと言えるようです。

ところで、最近では、黒豆の枝豆が人気です。

これは、栄養的にというよりも、希少価値と黒豆自体のおいしさによるものだと思いますが。

● 黒豆を簡単に煮る方法

黒豆をやわらかくふっくらと、また、しわがよらないように煮るには、大変な時間と手間がかかります。

ところが、黒豆を簡単に煮る方法があるとか。

鍋に、分量の熱湯と調味料、重曹を合わせたところに黒豆を入れて数時間吸水させ、その後豆がやわらかくなるまでコトコトと煮、そのまま冷めるまで放置する。

これは、熱湯により、吸水時間が短くて済むのと、重曹により表皮の繊維がやわらかくなり、内部のたんぱく質も膨潤性を増して、よく膨らみ、調味料が内部まで浸透しやすくなるからだと思います。

確かに時間は短縮できますが、重曹はビタミンを減少させるため、栄養的にはちょっと問題があるかなと。

私は、コトコトと時間をかけて何かを煮込むということが好きなので、上記の方法で煮たことがなく、食べ比べをしたことがないのですが、味的にはどうなのでしょう・・・?

ところで、なぜ、豆は鉄鍋で煮ると良いと言われているかご存知ですか?

これは、上ででてきたアントシアニンに関係があるのです。

アントシアニンは、鉄を加えることで色が安定化し、黒がより黒く仕上がります。

これは、小豆にもいえることです(色が安定します)。

釘をよく入れるといわれているのも、その理由です。

また、鉄鍋は、全体をおだやかに沸騰させるため、豆が均一に加熱されていきます。

そのため、黒くしわがよらずに黒豆を仕上げるには、鉄鍋が不可欠といわれているのです。

● 縁起物!?

ここで、おせち料理の祝い肴の意味を少々。

黒豆:まめに働き、まめに暮らせるように。

数の子:子宝にめぐまれるように。

田作り:イワシが畑の肥料だったことから、豊作祈願。

子孫繁栄と豊作祈願は、縁起がいいとしても、まめに働くって・・・。

黒豆を食べると、まめに働かなくてはいけないのか・・・と(笑)。

昔から伝わる、縁起物ですね。

ま、働けるということは良いことですが。

ところで、義母は、わざと、しわがよった、固い黒豆を煮ます。

これはこれでなんだかおいしくて私は好きなのですが、今回いろいろと調べていて、「長寿の意味を持つため、しわをよせて煮る地方がある」ということを知りました。

まめに働くよりも、長生きできる方がいいなぁ(笑)。

うちは、丹波の黒豆が好きで、黒豆というと、丹波になるのですが、丹波の黒豆は、白い粉がふいています。

黒豆はこれがあたりまえなのかと思っていたら、北海道産の黒豆は、白くありません。

どうも、丹波独特のもののようです。

おもしろいですね。

石田義昭『飲食店繁盛ダネ!』

“繁盛仕掛け人”石田義昭が飲食店開店の秘訣から売上増進の策および、日本各地の販売促進事例をわかりやすく解説、紹介します。

井上奈々子の『食の豆々知識』

飲食店における重要なメニューの考え方、作成方法、そして商品開発の極意など、繁盛につながるヒントを余すところなく紹介します。

KAZU石田の『飲食店現場の眼-小さな気づき-』

実践コンサルタントが各地を回りまさに“事件は現場で起きている”を心に目を光らせ、見つけた問題点を鋭く指摘、改善を容赦なく進言、普段の行動の様子を紹介します。

飲食店経営のあらゆる
お悩み、相談、ご質問をお受けします