コラム

KAZU石田の『飲食店現場の眼-小さな気づき-』

2018年5月8日

Vol.79 問題客対応で失わない信頼

GWの喧騒の中、皆様お疲れ様でございました。

サービス業は世間が楽しんでいる時に、楽しませる側に廻るというのが仕事とはいえ、その間の体力的な疲労と精神的な消耗は計り知れないものがありますね。

私も現場をよく知っているだけにお察しいたします。

この後のお休みの時はゆっくり英気を養っていただければと思います。

さて今回は大変な忙しさのなか、従業員の対処としては如何なものかという事例に遭遇しましたので、そのことについてお話しします。

時刻は夕飯時、まさにピークを迎えようとしている大手中華チェーン店での出来事です。

二人でテーブルにつきお決まりの生ビールを注文、いくつかのつまみ代わりの料理を頼んだその時です。

「おお~い、俺は何回も刑務所に入ってるんだ。

ここらへんじゃ、誰にも文句は言わせない。

逆らうやつは・・・」と大声を出しながら店内を闊歩する輩が一人、各テーブルのお客さんに声をかけながらウロウロし始めました。

軽く受け答えする人がいるとそこに座り込み酒まで注文する始末です。

さすがに店は注文を受けたりはしていませんでしたが、それ以上の対処は何もありません。

苦い表情の人、無口になる人、唖然と眺める人、そそくさと会計をする人までありました。

厄介だなぁと思いながら嫌な予感がしていたのですが、案の定、私のテーブルにもやってきました。

まあ、そこでのやり取りは省略するとして、多少、言葉を交わしながらあしらって帰らせました。

その間、料理を運んできたスタッフもドリンクを運んできたスタッフも、彼に対する対処は何もありませんでした。

というより、かかわりたくない様子がありありで、料理を置いて立ち去るスピードの速いこと速いこと。

(俺にお任せかよ)と心でつぶやきながら時間を過ごしたのでしたが、さすがに気分が悪く、「違う店に行こう」とテーブルを立って会計に向かったのでした。

驚いたことにレジを担当してくれた責任者らしきスタッフがすまなそうな顔でこう言ったのです。

「いろいろ大変でしたね、すみませんでした。

ありがとうございました。」

私の心の声は、(おいおい、客に問題あずけっぱなし、ほったらかしでいいと思ってるのかい。

ふざけるなよ、誰の店なんだい)。

声に出してしまうと二人目の輩になってしまうので、「いえいえ」と言って店を出たのでした。

忙しく、てんてこ舞いですから、対処していたらおそらく一人つきっきりになってオペレーションに支障が出たかもしれません。

ですが、だからと言ってお客様に危険が及ぶ可能性がある問題をほったらかしにしてよいわけがありません。

毅然たる態度で向き合い、それでも埒が明かなければ警察に頼ればよいのです。

私を含め何人かはもうあの店に再訪はないでしょう。

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