コラム

KAZU石田の『飲食店現場の眼-小さな気づき-』

2018年10月9日

Vol.84 サービスの思い込み

北海道で大地震の後は相次ぐ台風の襲来。

今年は本当に災害の多い年ですね。

自然災害は、もはや日本中どこにいても他人事ではなくなってきています。

普段からの備えや、災害が発生した際の行動について確認し、いざというときに備えましょう。

皆様充分お気をつけください。

先日、あるホテルで会合がありました。

料理はコースで、可もなく不可もなく進んでいきました。

ホテルだけあってサービスはそつがなく満足いくものでした。

笑顔で接するスタッフ達、動きも美しく、言葉使いも申し分ありません。

たった一つの点を除いては。

コースも終盤となり、デザートが運ばれてきました。

女性の前に次々と置かれるスイーツはなかなか魅力的であり、美味しそうです。

私は甘党ではありませんが、その時は少し心がワクワクしたのでした。

ところが私の前に置かれたデザートは小ぶりなグラスに液体が入ったものだったのです。

「あれ、これ何?」

「はい、私共ではデザートに、女性にはスイーツ、男性には健康によい酢を使ったカクテルジュースをお出ししております。」

(キッパリ、ニッコリ)

「あ、そうですか。」

えっとは思いましたが場の雰囲気を考え、何も言わずそれを飲み干しました。

(すっぱー)

(何だよ、ケーキやアイスクリーム、プディングが食べて~。)

男性は、スイーツは好きではなく、健康ジュースの方が好き、とでもマーケティングしたのでしょうか。

それとも彼らの独自の判断なのでしょうか。

どちらにしても、それに当てはまらない人間もいるはずです。

であるならば、

「デザートはスイーツの盛り合わせと健康カクテルのどちらがよろしいでしょうか?」と選択させるべきでしょう。

案の定、会場を出る男性たちの口から、

「デザートのスイーツが食べたかったのにあのジュースは何?

男女差別じゃないかあ」という冗談交じりの不満がいくつも聞こえてきました。

良かれと思ってやっているのかもしれませんが、明らかに失敗でしょう。

そういえば、何年か前に、昼時、和食店のランチを食べた女性が不満を述べていたのを思い出しました。

「お店のおばさんが、私の注文を聞きながら、“若い女性はご飯少なめのほうがいいでしょう”と言って半ライスにされんです。

お腹すいていたので、普通で良かったのに。

あの店嫌い!」

この女性は気弱で「いいえ、普通盛りでください」とは言えなかったようです。

たぶんおばさんは〈ご飯を少なめに〉ということを若い女性から何度も言われて、イコール若い女性はご飯を少なめが希望なんだと思い込んでしまったのでしょう。

それでも、お客様の希望を聞いてから対処するのが我々の仕事です。

努々思い込みでサービスしてはいけませんね。

季節の変わり目は体調を崩しやすいといわれています。

油断せず、体調管理には気をつけて、今日も一日頑張っていきましょう。

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