コラム

KAZU石田の『飲食店現場の眼-小さな気づき-』

2019年7月8日

Vol.93 お一人様時代のふれあいと効率

こんにちは。

梅雨とは呼べないような、各地の豪雨による被害が聞こえていますね。

河川の氾濫や土砂崩れが発生など、新聞やテレビの報道を見るたびに心が痛みます。

7月の降水量は北海道を除き、平年より多くなる予想が出されているとのこと。

これを読んでくださっている皆様の穏やかな毎日を祈念いたします。

最近、お客様の中に、ひとりで焼肉店やフレンチに来店される方の割合が増えているようです。

ひとりで入るにはハードルが高いと思われがちな焼肉店やフレンチですが、最近ではお一人様でも気軽に立ち寄れて、カウンター席などで少量ずつオーダーできる、カジュアルスタイルのお店が増えています。

お一人様の増加は、日本の世帯人数の変化や社会でのストレスが関係しているという学者もいますが、気ままにふらっと、自分だけの空間で誰にも気を使わず、自分の好きなものだけを注文し、好きな食べ方で食べるなど、気楽でひとりが一番というのもわかる気がします。

「誰もいないから仕方なくひとり」ではなく、「食事を楽しみたいからあえてひとり」といったお一人様が増えているのです。

「仕事帰りにサッと済ませたい」といった一人暮らしの需要もありますね。

そんな中、一人焼肉業態が絶好調なようですし、「餃子の王将」も立ち食い業態を始めました。

好調なようです。

滞留時間が20分から25分、効率重視というわけですね。

回転率が上がるのは、店にとってはメリットですが、なんだか効率を重視した業態が次々に現れているのは寂しい気がします。

そこに飲食店の原点であるともいえるお客様と店とのふれあい、コミュニケーションが感じられないからです。

先日、病院に定期的に処方される薬をもらいに行った時のことです。

受付を済ませ待っていると事務の女性が笑顔で近づいてきました。

「あのぉ、ちょっとよろしいですか?」

「あ、はい、何でしょう。(ついに惚れられたか、まいったなぁ)」

「前回、お会計した時のことなんですけど・・・。」

(おぉ、その時一目ぼれか?)

「あの時、小銭を探しながらお支払いをされましたが、お帰りになった後、カウンターに100円玉が1つ残っておりまして、お預かりしておりました。

お返しいたします。」

「え、そうですか。

それはそれは、ありがとうございます。」

(あら、まあ)

診断が終わった後、受付で会計をしながら、奥にいたその女性と目があい、自然と笑顔でアイコンタクトをしました。

なんだかこの病院にさらに親近感が増したような気がしました。

時代の流れとはいえ、キャッシュレス化により効率化されていく社会の中で、飲食店もその波には逆らえませんが、心のふれあいまで少なくなっていくのは違うと思うのです。

というよりは、そこにチャンスがあるような気がします。

社会が効率のため“心”が薄れていくのなら、我々は面倒な“ふれあい”を重視してお客様との接点を増やす戦術を考えてもいいですよね。

たいへんですけど。

さあ、今月もバリバリ健康で頑張りましょう。

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