コラム

KAZU石田の『飲食店現場の眼-小さな気づき-』

2019年9月10日

Vol.95 叱るタイミングを見極める

こんにちは。

9月に入っても気温の高い日が続いていますね。体調など大丈夫でしょうか。

これを読んでくださっている皆様の穏やかな毎日を祈念いたします。

最近、訪れたお店で驚きの出来事がありました。

今時のお店ではほとんど見かけなくなった「客の前で店長がスタッフを怒鳴る」シーンが目の前で展開されたのです。

人の振り見て我が振り直せの典型。

夕刻の和食店に入店した私たちの目の前のカウンター厨房で、店長らしき男性が大声で叫びました。

「誰だ、ここで仕事した奴は!?

やりっぱなしでキッタねーな。

なんて仕事してるんだ!

後で使う人間のこと何も考えてないのか、ふざけんじゃないぞ!

えっ、誰だ!」

私を含め、ほとんどのお客様がその声を聞いて会話が停止しました。

明らかにターゲットになっている板前さんの方を皆さんチラ見していました。

その方は背中でその声を聞いたまま、振り返ろうともしません。

店長よりも年上で初老の板前さんです。

プライドもあるのでしょう。無視し続けていました。

店長の言葉はさらに続きました。

「謝ることもできないのか、シカトかよ!?

そんなだからいつまでたってもだめなんだよ。

他の人間のことも考えて仕事できない奴は迷惑なんだよ。」

確かに店長さんのいうことに間違いはありません。

日頃から腹に据えかねていた思いが爆発してしまったのでしょう。

機嫌も悪かったのかもしれません。

でも、店長さん、貴方のその怒りの言葉をお客様も聞かされているのです。

本人はその板前にだけに言っているつもりでしょうが、食事をしている店内で、その声は響き渡っていました。

「うるさいなあ、耳障りだよ、お前の方が迷惑だ。

【仕事をキチンとやれっ】と言ってるようだけど、お客様が嫌な気分になっているのがわからず、怒鳴り散らすあなたが【キチンとしていませんよ】」と喉元まででこらえるのに苦労しました。

現場で働いていればシッカリした方もいますが、チョット困った方もいます。

ミスを繰り返す方もいます。

その場で注意をしなければならない場面もありますね。

ですが、注意の仕方や言葉使いを間違えると、お客様の居心地が悪くさせてしまいます。

また、人前で怒鳴られるスタッフの気持ちも考えなければなりません。

怒鳴られる、叱られるということは、少なからず恥を感じるもの。

人前でならなおさら、恥ずかしい、辱めを受けていると感じ、この場からどうにか逃げたいということに意識が働き、内容は頭に入ってきません。

叱る人に対しても不信感や嫌悪感を抱くことでしょう。 

また、今の時代、一歩間違えればパワハラだと言われてしまいます。

正当な理由があっても人前で怒鳴られる、叱るのは、百害あって一利なし。

単に恨まれるだけで、何の利益もありませんし、ましてや指導効果、教育効果などは望めません。

教育、アドバイス、暗示、注意、叱り、再教育と人材をお店にとって1人前にするのは骨
が折れることです。

時には癇癪玉が破裂しそうになるかもしれませんが、お客様が嫌な目に合うようなことだけは避けなければいけませんね。

ホントたいへんですけど。

また、今月もバリバリ健康で頑張りましょう。

石田義昭『飲食店繁盛ダネ!』

“繁盛仕掛け人”石田義昭が飲食店開店の秘訣から売上増進の策および、日本各地の販売促進事例をわかりやすく解説、紹介します。

井上奈々子の『食の豆々知識』

飲食店における重要なメニューの考え方、作成方法、そして商品開発の極意など、繁盛につながるヒントを余すところなく紹介します。

KAZU石田の『飲食店現場の眼-小さな気づき-』

実践コンサルタントが各地を回りまさに“事件は現場で起きている”を心に目を光らせ、見つけた問題点を鋭く指摘、改善を容赦なく進言、普段の行動の様子を紹介します。

飲食店経営のあらゆる
お悩み、相談、ご質問をお受けします