コラム

石田義昭の【飲食店 繁盛ダネ!】

2024年11月11日

その245 時間も経営も瞬く間に過ぎ去ってしまう。迷ったらゴー

「ようやく涼しくなってきたわぁ。

秋がないのかと思っちゃった。」

「そうだな、外に出るときジャケットが邪魔にならなくなって、ちょうどいい感じだよ。

これぐらいの気温が続けば一番いいのになぁ。」

「きっと、すぐ寒くなるわよ。

どこか旅行するなら今ね!」

「はぁ、どこ行く気だよ。

おいらは仕事があるんだから、それに浪費は・・・。」

「旅行はできる時にしとかないと。歩けなくなった私を連れていくのはあなた大変でしょう。」

「そうなっても行くんかい。」

まぁ、奥神様の言う通り、先のことはわからないのが人生ですから、やりたいことはできるうちに、という考え方もありますね。

我慢や様子見をしていて、動けなくなってから後悔するのは、幸せではないかもしれません。

飲食店の経営でもそんな憂き目にあっている店もたまにありますね。

皆さんはどうでしょう。

【時間も経営も瞬く間に過ぎ去ってしまう。迷ったらゴー】

先日、40年の歴史をもつ飲食店に呼ばれました。

新しく臨店したお店では、まず、聞き取り調査を行います。

実情が悪いから呼ぶわけですが、具体的に何が悪いのかわかっていなくて、途方に暮れているような店が多いのですが、この店も例外ではありませんでした。

「昔は、ここら辺は人通りが多くて、大きな会社もあるので、ランチタイムは並んで待つお客さんがいて凄かったんですよ。

それが今は客数も半分です。

もう上がり目なんてあるんだか。

お手上げですよ。

今更、打つ手があるんですかねえ。」

私はこう聞き返します。

「どんな手を打ったんですか?」

すると、ほとんどの方は、言葉に詰まってしまうのです。

この店も同じでした。

何もしなくても立地環境が良かったため、たまたま当たっていたのです。

飲食店は立地7割と言われるような商売でもあります。

普通にオープンしても繁盛してしまうこともあるので厄介なのです。

経営者が自分の実績だと勘違いしてしまうからです。

「昔は、蓄えもかなりあったんですけどねぇ。

今じゃ毎月が心配です。

コロナでもやられて、散々ですわ。」

私は、「蓄えがあったときに、店・お客様・商品・人材に投資しなかったことが原因です。

オープンだと思ってやり直しができれば上がり目はありますよ。

良いときはこれがいつまでも続くと思ってしまうのですが、それが幻想なのです。

良いときにもっといい店にしようと投資しないといけないのです。

悪くなった時のために蓄えをしっかりしようと貯め込みますが、いざ悪くなってきても、貯まった資金を使うのが怖くなり、補填に使って、溶かしてしまうのです。

無くなって初めて、何かすればよかったと思っても遅いのです。

でも、ちょっと遅いだけで、そこを今から少しの借金をして、やりましょう。

戻りますよ。」

こう申し上げます。

何も手を打っていなかった店が、そこからしっかり手を打てば、必ず蘇るのです。

手段手法を私が話し始めると、「そういえば、そんなことを考えたことがあります。

だけど、いろいろやることがあって、できなかったり、様子を見ようと先延ばしにしている間に自然消滅しました。

やればよかったんですね。」

「そうですよ、後継者もいるんですから、新規オープンと思えば、大した借金じゃないでしょう。

家賃もないんだし、今、固定費がなければ、問題が大きくなることはありません。

息子にプレゼントです。

もうひと頑張りは、後悔しないで済みますよ」と、助言したのでした。

もたもたしていれば、季節も時間も人生も、瞬く間に過ぎ去ってしまいます。

迷ったらゴーですね。

では、また。

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