2025年3月12日
その249 飲食業界におけるファストパス予約の導入

「『銀だこ』、創業祭で並んでたぞ。
380円だって!」
「あら、買ってくればよかったじゃない。」
「嫌だよ、30人ぐらい並んでたもの。
キミ、買ってきてくれない?」
「はあ!?自分が嫌なことをどうして私にさせるの?
ホントふざけた男だわ!」
「頼むよ、おいらが喜ぶんだぜ。」
「絶対嫌!」
まぁ、自分が嫌なことは人にやらせちゃ、いけませんね。
というわけで今回は行列に並びたくないお客様のために飲食店が新しく始めた施策を検証してみました。
【飲食業界におけるファストパス予約の導入】
近年、日本の飲食業界において、新たな予約システムとして「ファストパス」の導入が進んできています。
ファストパスといえば、テーマパークなどで長蛇の列を回避するための優先入場システムとして広く知られていますが、この概念が飲食店にも応用されつつあるわけです。
特に人気店や行列のできる飲食店にとっては、顧客満足度の向上や回転率の向上といったメリットが期待されるのです。
ファストパスとは、通常の予約とは異なり、一定の料金を支払うことで優先的に席を確保できるシステムで、従来、飲食店では事前予約が一般的ですが、特に人気店では予約が取りづらく、長時間の待ち時間が発生することが普通です。
この問題を解決するため、ファストパスを導入する店舗が増えているということです。
ファストパスの料金体系は店舗によって異なりますが、一般的には以下のような形が採用されています。
• 基本料金制:一人あたり500円~2,000円程度の追加料金
• ダイナミックプライシング:混雑状況に応じて価格が変動
• セットプラン:特別メニューと組み合わせたパッケージプラン
例えば、東京の有名ラーメン店では、事前にオンラインで1,000円の追加料金を支払うことで、特定の時間帯に優先的に入店できるサービスを提供しています。
また、高級レストランやホテルのレストランでは、ピークタイムに3,000円程度の追加料金を支払うことで、スムーズに席に案内される仕組みが採用されつつあるとも聞いています。
ファストパス予約のメリットとしてはこんなことがあげられますね。
1. 顧客満足度の向上
長時間並ぶ必要がなくなるため、顧客のストレスが軽減される。
特に訪日外国人観光客にとっては、効率的に食事を楽しむ手段として魅力的である
2. 店舗の収益向上
有料での優先予約を提供することで、追加収益を得ることができる。
特に回転率が重要な飲食店では、待ち時間を減らし、より多くの客を受け入れることが可能になる
3. 人員配置の最適化
事前予約データを基に来店客数を予測しやすくなり、適切な人員配置が可能となる。
これにより、従業員の負担軽減やサービスの質向上につながる、などです。
課題もないわけではありません。
「公平性の問題」というものが発生しますね。
有料の優先予約制度を導入することで、経済的に余裕のある顧客が優遇され、一般の顧客が不満を抱く可能性があるということです。
特に、行列文化が根付いている日本においては、「並ぶことも食の一部」と考える人も少なくないため、ブランディングへの影響が出てくるのです。
高級店でのファストパス予約は受け入れられやすいですが、大衆向けの飲食店では「お金を払わないと快適に食事できない」というイメージがつくリスクがあるのは、怖い点ですね。
ファストパスの導入は、観光客が多いエリアや人気の飲食店で、今後も広がっていくと考えられますが、一方で、料金設定や公平性の確保など、店舗ごとに慎重な対応が求められるでしょうね。
飲食業界におけるサービスの向上は、お客様の満足度向上だけでなく、業界全体の効率化にもつながるので、今後の動向を見ながら、適切な形での導入が可能な皆さんは考えてもいいかもしれませんね。
では、また。
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